「株式会社」という言葉は、法人形態を示す基本的な用語で、多くの人が日常的に目にします。しかし、その読み方について「カブシキガイシャ」と読むべきか、それとも「カブシキカイシャ」が正しいのか迷うこともあるのではないでしょうか。カイシャかガイシャか。
この疑問を解決するため、この記事では「株式会社」の正しい読み方や、その背景にある理由について詳しく解説します。
「株式会社」の一般的な読み方
結論を言うと、「株式会社」は「カブシキガイシャ」でも「カブシキカイシャ」でもどちらでも正しいとされています。
ただし、一般的には「カブシキガイシャ」という読み方が広く使われています。この違いは、言葉が持つ発音ルールや習慣によるものです。日常会話やメディアでも多くの場合「カブシキガイシャ」として使われていることから、この読み方が標準的だと感じる人が多いのです。
辞書での記載
主要な辞書である『日本国語大辞典』や『広辞苑』では、「カブシキガイシャ」を主要な見出し語として掲載しています。
また、「カブシキカイシャ」も正しい読み方として認められていますが、記載の優先度や日常での使用頻度を考慮すると、「カブシキガイシャ」が一般的であることが明確です。
法人登記におけるフリガナの使用状況
2018年以降、法人登記の際にはフリガナの記載が義務化されました。このデータを基にした統計では、「カブシキガイシャ」の割合が圧倒的に高いことが確認されています。
国税庁の法人番号公表サイトによれば、登録されている法人のうち約8割が「カブシキガイシャ」と表記されており、実務上もこの読み方が主流となっています。
「カブシキガイシャ」が広く使われる理由
「カブシキガイシャ」という読み方が一般的になった背景には、「連濁(れんだく)」という日本語特有の発音現象が関係しています。
連濁とは、複数の単語が結びついた際に後ろの単語の初めの音が濁る現象を指します。
例えば、「株式」と「会社」が組み合わさると、「カブシキカイシャ」から「カブシキガイシャ」に変化します。このような言葉の変化は、「焼き魚(ヤキサカナ→ヤキザカナ)」や「はしご酒(ハシゴサケ→ハシゴザケ」のような他の単語でも見られる自然な現象です。
例外や異なる読み方の存在
ただし、すべての漢字の組み合わせで連濁が起きるわけではありません。歴史的な背景や地域による違いもあり、読み方が変化しない例外も多く存在します。
これらを踏まえると、「カブシキカイシャ」という発音も正当性があるものの、慣習として「カブシキガイシャ」が定着していると言えるでしょう。
ローマ字表記と略称「KK」の使い方
ローマ字表記の特徴
日本の法令を英訳する際には、「Kabushiki-kaisha」というローマ字表記が一般的です。ただし、企業名としては「Kabushiki Kaisha」と連濁を含まない形式が使われることもあります。これにより、読み方と表記が必ずしも一致しない場合があるため、状況に応じて注意が必要です。
株式会社を略した「KK」の実態
「株式会社」を略して「KK」と表記する例もあります。特に、海外に拠点を持つ企業の日本法人名で使われることが多いです。略称には「Kabushiki Kaisha」の頭文字を使用しますが、「KG(Kabushiki Gaisha)」という表記はほとんど用いられていません。
株式会社の正しい読み方と由来まとめ
「株式会社」という言葉は、日本語の発音ルールや文化的な背景により、「カブシキガイシャ」と「カブシキカイシャ」の両方が正しい読み方とされています。
特に「カブシキガイシャ」は、連濁現象や実際の使用例から一般的な読み方として定着しています。企業名を正確に表記する際には、この違いを理解しておくことが重要です。